シミ・そばかす・肝斑

ピコスポットの経過、色素沈着とその対策について

当院では肌の色味に対する治療として最新のピコレーザー・エンライトンSRを導入しております。

・ピコレーザーとは?

ピコレーザーは従来のQスイッチレーザーに比べてレーザーが出ている時間(パルス幅)が格段に短くなっており、肌の正常な組織にダメージを極力与えることなく、メラニン色素に反応し色素病変に効果のある機械になっております。
老人性色素班という一般的なシミや、ADMなどの特殊なシミ、またタトゥー除去などにも活躍できる今の美容皮膚科ではなくてはならない治療になります。

・3種類の照射モード

ダウンタイムなくお顔全体のシミやくすみを改善するピコトーニング、毛穴の引き締めや肌のリジュビネーションを促進するピコフラクショナル、そしてピンポイントに色素病変に照射し高い効果を発揮するピコスポットがあります。
今回はその中でもピコスポットに焦点を当てて解説していきます。
ピコスポットは高出力のレーザーを集中的に照射することで濃いシミを除去できるため、全体をトーンアップしたい方よりも、ピンポイントでシミを取りたいという方におすすめです。

・レーザー治療の経過について

通常の老人性色素班にピコスポットを照射した場合には、一般的な経過であれば、レーザーを照射してから約1~2週間後から現れ始めます。
シミがかさぶたとなって徐々に剥がれ、はがれた後には、新しい皮膚が出てきます。
新しい皮膚は周囲の正常な皮膚と色味が異なるため、周りの肌と完全になじむには時間がかかります。
特に日焼けをしている方の場合には白ぬけしたように目立つことがあります。
ただしほとんどの場合で、1~2か月の経過で周囲に馴染み目立たなくなっていきますのでご安心ください。

・ピコスポットの治療回数について

ピコスポットは狭い範囲に高出力のレーザーを照射するため、ほとんどの場合1回〜3回で治療が完了します。
シミの状態にもよりますが、ピコスポットは一回の施術で効果を感じることも多いです。薄くなった、シミが取れたと効果を感じていただけます。
ただし必ずしも1回でとり切れるわけではないこと、薄いしみには効果が出にくい場合があることはご理解ください。
またADMなどもピコスポットを5回程度繰り返せば薄くすることができます。
根気強く治療を行えば、長年のお悩みも改善できるので、医師と相談して適切な回数の施術を受けてください。

・ピコスポットのデメリット

従来のQスイッチレーザーで、色素沈着の発生リスクは3~5割程度といわれています。ピコレーザーになってからは、その発生のリスクはもう少し低いといわれていますが、やはりそれなりに起こりえる副作用になります。
照射から2~3週間ぐらい経過して、一度シミが取れたはずが、急に灰色調~褐色のもわっとした色味が出てくることがあります。
これが炎症後色素沈着の状態といいます。多くは照射前より薄い色味のことが多いですが、稀に炎症後色素沈着は照射前より濃くなる場合もあります。
また、薄いシミの場合は新たにシミができたようにそこまで気にしていなかったシミの部分が濃くなることもあります。
特によく聞くのが、顔全体のとり放題などで、もともと薄く気にならなかったシミも、せっかくだしもったいないからと当てすぎてしまうと、かえって色素沈着で照射前より目立つことがあります。
炎症後色素沈着は照射後1~2か月後ぐらいが色味のピークとなります。
照射をし、2~3か月ぐらいは大体同じ程度の色味で経過し、その後徐々に薄くなり半年~1年かけて消失していきます。
ほとんどの場合色素沈着は無くなりますが、待っていただくほかない場合があります。

・炎症後色素沈着の防止方法

ピコスポット後の炎症後色素沈着を防ぐ・悪化させないために、できることもありますのでご案内していきます。
まずは、外的な刺激を徹底的に避けることです。
紫外線対策の徹底を行ってください。屋外に出る場合は日焼け止めや帽子・マスクなどを使用してください。
次に摩擦を避けることも重要です。
色素沈着が気になるあまり、ついつい触ってしまう方も多いです。この刺激がかえって色素沈着を悪化させてしまいます。
ハイドロキノンなどの美白剤の併用も効果的です。
当院での処方も行っております。

・炎症後色素沈着が出てしまった場合

炎症後色素沈着が出てしまった場合、破格改善させる対策として下記があげられます。
トレチノインやピーリングでのメラニンの排出促進も有用です。
ただしトレチノインやピーリングを行っている場合には、紫外線の影響を強く受けやすくなるので、引き続き紫外線対策が必要になります。
ピコトーニングでのメラニンの分解と排出促進を合わせる場合もあります。
肌の状態や色素沈着の程度に合わせて、医師の診断のもとにお話していきます。
そのほかトラネキサム酸の内服・メソナJなどもおススメです。

・シミの取り残し・再発なのか色素沈着なのか?

ピコスポットの後で、かさぶたとなりきれいに剥がれ落ちた後に、色味が出てきた場合には、多くは炎症後の色素沈着ですが、シミの再発の場合があります。
もともとあったシミよりも広範囲にもわっと色が出てきた場合は色素沈着の可能性が高いです。
再発も、色素沈着も、結局のところ色味の原因としては、どちらもメラニン色素のため、見た目での鑑別がとても難しいです。
時間の経過で判別していく必要があり、色素沈着の治療を行いながら十分に経過を見たうえで残っているものがシミ、消えたのが色素沈着という判断になります。
目安としては色素沈着の期間である、6か月程度を要します。
6か月程度あけていただいたうえで、残っているシミに対しては再度ピコスポットを行うことができます。